特集 防衛機制とは?

この記事は弊社の別サイト「働く人のための快適!人間関係改善術」から、2015年7月14日の記事を移行してきました。

防衛機制とは

心理的に安定した状態を保とうとする心の働きです。

防衛機制を知ることにより、
自分がストレスに対してどんな反応をしているかがわかります。

代表的な防衛機制をご説明していきます。

特集 防衛機制についてまとめました。

防衛機制とは?

防衛機制とは

欲求不満や葛藤による破局を予感すると
不快な感情や経験を弱めたり避けようと様々な方法を使って

心が傷ついたり押しつぶされないように自己を防衛しようとする反応です。

心理的に安定した状態を保とうとする心の働きです。

防衛機制は、すべての人の心に無意識に働く正常な心理的作用です。


ただし、防衛機制が過度に働くと、不適応な症状として現れることがあります。

また単独ではなく、他のものと関連し合いながら作用します。


防衛機制を知ることにより、
自分がストレスに対してどんな反応をしているかがわかります。
代表的な防衛機制をご説明していきます。

抑圧

抑圧とは?

苦痛な感情や記憶、または社会的に好ましくないとされている欲求(性の欲求など)を

意識から追い出しなかったこととして無意識へと閉じ込めることです。

抑圧は、一時的に安定させるだけですので、
ストレスが溜まり根本的に解消されません。

ほかの防衛機制の元になっているもので、
抑圧されてストレスが溜まった心は他の問題へと発展することがあります。


《例》
親しい同僚が理不尽なことで上司から怒られているところを目撃したとき、
怒りを感じる人がいたり、間に入っていく人がいます。

ですが、抑圧が働いた場合、
見て見ぬふりをして、感情を感じないようにしています。

感情が表面に出ないよう奥に押し込めてしまいますが、
押し込めた感情はなくなるわけではないのでストレスを感じ、
別の行動や防衛機制にあらわれることがあります。

逃避

逃避とは?

適応できない状況や嫌なことから逃げ出すことによって、
消極的に心の安定を得ようとする心の働きです。

逃避は目の前のことに逃げているだけなので、
根本的な解決にはなりません。

ですが、逃避することで一時的な先延ばしで時間を稼ぐことはできます。

その間心身を回復させることもできるので役立つこともあります。

主に4つあります。

退避

不安な場面や適応できない場面を避けます。

明日大事な書類を提出しなければならないが、
完成していないので休むなどして不安に直面するのを避けます。

これが習慣化すると、引きこもりをするなど
多くの現実から自分を隔離するようになることもあります。

現実への逃避

適応できない困難な状況に直面するのを避けて、
それとは直接関係のない別の行動に没頭することによって
不安を解消しようとすることです。

テスト勉強しなければならないが、
マンガ・テレビに没頭するなどが例です。

空想への逃避

適応できない困難な状況から空想の世界へ逃げて、
非現実の世界で満たそうとすることです。

机に向かって勉強の用意はしながらも、
あれこれ空想に浸って勉強しないなどです。

病気への逃避

病気を理由に困難な状況から逃れようとすることです。

仮病とは違い、本当に身体の症状にあらわれます。

会社に行く間際、腹痛や頭痛がするなどは無意識的な病気への逃避です。

分離

分離とは?

思考感情切り離された状態。

苦しい体験や悲しい体験をしたとき、
淡々と話したり行動したりして、心の負担を取り除こうとすること。


《例》
大失敗をして心の底ではすごく落ち込んでいるのに、無意識的に気丈に振舞って淡々と話す。
このとき、落ち込みを表現する場面でないと判断し、理性が働いて冷静に話すこととは違うとされることもある。

反動形成

反動形成とは?

自分の本当の気持ちを知られたくないので、
気持ちとは反対の行動をとることです。

抑圧が十分ではなく、
表面化されることを恐れて反対の行動をとります。


《例》
子供の頃、男子が好きな女子に意地悪したり、無関心・無視をしたりする。(反動形成だけが原因ではない)

置き換え

置き換えとは?

満たされない欲求や衝動を、本来向けるべき対象とは別の対象に向けて、
不満をぶつけて欲求不満を解消しようとすることです。

上司に叱られたことで自分の部下に八つ当たりをするなどです。

置き換えにもいくつか似たものがありますので、まとめて説明します。

代償行動

満たされない欲求や衝動を、別の似た欲求に変えて目標を達成しようと不満を解消することです。

子供が独立して寂しくなった親がペットを飼って可愛がるなど。

補償

自分の弱さや劣等感を他の分野で補って優越感を求めます。

勉強が苦手な子供が、スポーツを頑張って優越感を味わおうとするなど。

昇華

社会的に望ましくない欲求や衝動を、社会的に評価のある活動に置き換えることです。

攻撃的欲求や性的欲求を、スポーツや芸術に力を注ぐなどです。

まとめ

それぞれとても似ているので間違えがちですが、

置き換えは、「不満をそのまま別の対象に向ける」
代償行動は、「別の似た欲求に変える」
補償は、「自分の劣等感を」
昇華は、「社会的に望ましくない欲求や衝動を」

とみるとわかりやすいです。

知性化

知性化とは?

欲求や衝動を直接満たそうとしなかったり、問題に直面することを避け、
それらに関する知的活動に変わったり、難解な専門用語を獲得しようとする働きです。

知識をつけると解決した気になりますが、
あくまでうわべだけの理解に終わり、根本的な問題は解決されません。

知性化も分離と同じように、思考と感情が切り離された状態です。


《例》
コミュニケーションが苦手で劣等感を持っている人が、趣味のマニアックな知識をたくさん得ようとする。

合理化

合理化とは?

何かもっともらしい理屈をつけて自分を正当化し、
不安や葛藤をやわらげようとすることです。

受け入れたくない現実を理由をつけてほかのものに責任転嫁したり、
自己中心的な理由付けをしたりします。

《例》

・有名な『すっぱいブドウ』の例があります。
欲しいブドウが高いところにあって手が届きません。
そこで、「手の届かないところにあるブドウは酸っぱいブドウだ」と口実をつけることです。

・上司が自分の指示の悪さを棚に上げ、新入社員の思うように動いてくれないことに対して
「近頃の新入社員は自分勝手だから仕方ない」と考える。

投影

投影とは?

自分の中にある嫌な感情を、
他人が持っていると信じてしまうことです。

自分の嫌な感情を自分では認められず、相手に押し付けてしまいます。

例えば、不安を感じたとき不安の原因を自分ではなく、
相手や外部のせいにします。


《例》

自分が相手を嫌っていることに気づかず、相手が自分を嫌っていると感じる。

取り入れ、同一視

取り入れ、同一視とは?
取り入れも同一視も、自分にないものを他者から取り入れようとすることです。

取り入れ(摂取)

「投影」の逆で、他者にある感情や価値観などを自分のもののように感じたり、取り入れたりすることです。

他者の好ましい部分を取り入れて成長するために役立つものであるが、
過剰になると自分と他者が区別がつかなくなり、「同一視」へと進みます。

同一視

優れた能力を持っている他者を自分のことのように思い、自己の評価を高めようとします。

自分ではかなえられない欲求があるとき、
その欲求を満たしている相手と同一であるとみて満たそうとします。

《例》

スポーツ選手の真似をしたり、アイドルの真似をしたりする。

恐れている相手や嫌いな相手を自分と同一視する。