『嫌われる勇気』を嫌う勇気

この記事は弊社の別サイトから、2014年5月25日の記事を移行し、加筆して掲載しています。

以前、『嫌われる勇気』という本が有名になりましたね。

2014年に心理学の本としては異例なほど売れ
今でも売れ続けている本です。

アドラー心理学ブームの火付け役となりました。

アマゾンのレビューをみても9000件超えの異様な盛り上がりです。(2022年2月現在)

私は読んでいて違和感を感じました。

良かった点もありますが
注意点も必要だと思いました。

まずは良かった点

■良かった点

  • 対話形式で進んでいくので読みやすい
  • 哲学に近いが、話の進み方は論理学に近い(哲学は論理的に進めるので当然といえば当然)
  • 「他人が気にならなくなる」方法だと思う
  • 世界的な日本人アスリートがインタビューで意外にサッパリしたことを言っているように感じるのは、こういうエッセンスを含んでいるから

■注意点

  • 対話形式なので読みやすいが、物語ではないので前の内容を忘れてしまう
  • 回りくどい説明と感じました、もっと簡単に説明できそう
  • 青年と哲人のやり取りが言い合う口調なので、相手の感情を無視しているように感じる
    そのやり取りをそのまま日常で使うと、日本人的な空気を読まないことになる
  • 論証、論破することに気分が良くなると他の可能性に目がいかなくなる
  • 感情を無視して理屈で言いくるめる、相手を傷つけかねない

と思いました。

アドラー心理学としてではなく、この本特有の注意点だと思います。


アドラー心理学を否定しているわけではありません。
とても有効なものと思います。

欧米の合理的なコミュニケーションに合っている心理学だと思います。

成功哲学や企業家がよく書籍にしている、心の持ち方を凝縮して論理的に説明している内容です。

使いやすい部分を使えばよいと思います。

■アマゾンのレビューでは
すべてが解決できるような感想が多いので
さらに注意が必要です。

恐ろしいのは主体的に考えずに熱狂してしまうこと。

「あの人がやるなら、私もやろう」

と何も考えずに他人に同調してしまうと、とても危険になります。

盲目的に信じるのではなく

自分はどう思うか?

を大切にしてください。