第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」

あらすじはガンダム公式Webをご覧ください。http://www.gundam.jp/story/index.html

この回のポイント

佳境に入ってきました。

  • ア・バオア・クー
  • ソーラ・レイシステム
  • ギレンの演説
  • ギレンとキシリアの会話
  • ジオング

この回の好きなところ

■ソーラ・レイが発射されて連邦軍の艦隊が爆破していくシーンが、ファーストガンダムの特徴である「絵」として印象に残ります。

■ア・バオア・クー戦略の説明のときアムロが「十字砲火」と言っていましたが、そういう単語があるのか?何だろうと思い調べました。ウィキペディア「機関銃のような自動火器を使用した戦術の1つで、2つの火器から放たれる火線が交差(Cross)するところから、クロスファイアと呼ばれる。 この戦法は、第一次世界大戦で登場した。」とのこと。ア・バオア・クーはT字型(キノコ型)をしていてキノコの笠の下は十字砲火を浴びやすいが、一番もろい所という意味で言っているだろう。

■出撃の前にアムロがフラウ・ボゥに声をかけた後、ハヤトもフラウ・ボゥに声をかけに行きます。それを気にしてかアムロは振り返りました。エレベーターでカイ、セイラ、カツ・レツ・キッカと一緒になったとき、ハヤトがフラウ・ボゥに声をかけていることが話題になりました。セイラがカイの笑い方を「いやらしい笑い方」とけなしましたが、アムロは何か達観したかのように「いいじゃないですか」と。こうしたやり取りを加えることによって作品を深めています。

ジオング初登場。ジオンの名前が入っていることもあり開発にかけた思いはより強かったでしょう。キシリアもギレンも80%未完成品と言っているが、シャアに説明したジオンの技術士官は「80パーセント?冗談じゃありません。現状でジオングの性能は100パーセント出せます」と言っていました。その後も「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」「大佐のニュータイプの能力は未知数です、保証できる訳ありません」と。シャアから「はっきり言う。気にいらんな」と指摘されました。その時、ジオングの背後に赤色のモビルスーツが配置されていたのでシャアのゲルググが修理しきれずにいたのでしょう。
シャアが乗り込んだときジオングの顔が映りますが、影になっていて怖さを感じます。

■ボールがザクに蹴られてジムに当たり共に大破する悲しいボールの運命・・・。こんな戦場で生きて帰るほうが奇跡です。

学徒動員。キシリアから「しかし、ゲルググ、ドムの動きが目立たないのはどういう訳だ?トワニング」と問われたトワニングは「は、が、学徒動員のパイロットが多いようですから」そして苦しまぎれにトワニング「しかし、養成は万全でありました」キシリア「…話は信じるが、戦果だけが問題なのでな。もろ過ぎるようだ」トワニング「申し訳ありません。しかし、彼らの救国の志は」・・・戦力がひっ迫している証拠。学徒動員までして勝った国はありません。

■ナレーターでの終わり方。ナレーター「シャアは激しい焦りを感じ始めていた。ニュータイプ用に開発されたこのジオングのパワーを最大限に発揮できぬ自分に。あのガンダムのパイロットは今確実に自分を追い込んでいる」アニメの動きではなく、色合いを変えた静止画でナレーションしたことで重要性が増し、印象的です。

■最終回予告ナレーション「終局である。シャアとアムロが生身で対決するなど、すでに戦争ではない。ニュータイプに科せられた宿命なのだろう。ホワイトベースをア・バオア・クーの赤い炎が包んでいく。機動戦士ガンダム、次回、『脱出』。君は、生き延びることができるか?」
冷静にも「終局である・・・」と言っているところが最終回なのだと感じさせるナレーションです。

この回の名言

ギレン「あえて言おう、カスであると」

ギレンの演説全文「我が忠勇なるジオン軍兵士達よ。今や地球連邦軍艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。この輝きこそ我らジオンの正義の証である。決定的打撃を受けた地球連邦軍にいかほどの戦力が残っていようと、それはすでに形骸である。あえて言おう、カスであると。それら軟弱の集団がこのア・バオア・クーを抜くことはできないと私は断言する。人類は、我ら選ばれた優良種たるジオン国国民に管理・運営されてはじめて永久に生き延びることができる。これ以上戦いつづけては人類そのものの危機である。地球連邦の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん、今こそ人類は明日の未来に向かって立たねばならぬ時である、と」

独裁者の演説で、もっともな理屈を押し付けて兵士を鼓舞する内容ですね。ガルマが死んだときも似たような演説をしていました。

「ジーク・ジオン」とジオン兵の士気を高ぶらせ最終決戦に向かう恐ろしさが感じられます。

アムロ「こんなことで死んじゃつまらないからね」

出撃の前にアムロがフラウ・ボゥに声をかけました。「フラウ・ボゥ、どんなことがあってもあきらめちゃいけないよ。こんなことで死んじゃつまらないからね」まさにこんなことで死んじゃつまらないです。戦争で死んでは無念です。

カイ「そりゃそうだな。逆立ちしたって人間は神様にはなれないからな」

出撃前のエレベーター内でカイ、アムロ、セイラの会話。カイ「アムロ、さっきお前の言ったこと、本当かよ?」アムロ「嘘ですよ。ニュータイプになって未来の事がわかれば苦労しません」セイラ「アムロにああでも言ってもらわなければみんな逃げ出しているわ、恐くてね」の後のカイのセリフ。アムロは自身がニュータイプであることは否定しているようですが、ニュータイプであろうとなかろうと都合よく神様にはなれません。哲学的な言葉ですね。

キシリア「父殺しの男が」

すべての権力を手にしたいギレンが、父デギン公をソーラレイを使って撃ってしまったことに憎しみを感じたキシリアのことば。いくら何でも父を撃つとは肉親としては許せない思いがあらわれています。

アムロ「本当の敵はあの中にいる、シャアじゃない」

赤いモビルスーツでないジオングをニュータイプの勘でシャアだと認識しますが、本当の敵はジオン軍。連邦軍の目標に向かって出撃しています。組織運営では大切な事。一社員が目の前の仕事ばかりに目を取られると会社の目的が達成されません。

キシリア「意外と兄上も甘いようで」

キシリアがギレンを撃ったときのセリフ。父・デギン公の所在と理由を聞いていたキシリア。戦闘中にもかかわらずギレンを射殺してし舞うことで指示が一時行き渡らなくなり、戦局をもっと悪くしてしまいます。結局は、ザビ家内の個人的感情も原因となり敗戦だけでなく、損害も大きくしてしまいます。その後、トワニングが「ギレン総帥は名誉の戦死をされた。ドロス艦隊が破られたぞ」「キシリア閣下、御采配を」とキシリアをすかさずフォローしたのは、軍のためか?自分のためか?

シャア「見えるぞ、私にも敵が見える」

敵に阻まれてガンダムを見失っていたシャア。ガンダムを見つけた時のセリフ。ニュータイプ的な見つけ方といえます。

ジオン兵「ああっ、ひ、火が。母さん!」

学徒動員されたようなザクの若いパイロットが、シャアと戦うしかなくなったガンダム・アムロに「な、なぜ出てくる?」と盾で押された時、ジオングのビームに当たり、無念な戦死をしました。

シャア「しかし、私もニュータイプのはずだ」

シャアがアムロから追い込まれている状況で出たセリフ。ニュータイプのはずだと自分に説得していますが、焦っているのがわかります。

この回の登場人物

アムロ・レイ

フラウ・ボゥ

ブライト・ノア

カイ・シデン

ハヤト・コバヤシ

ミライ・ヤシマ

セイラ・マス

マーカー・クラン
オスカ・ダブリン

カツ、レツ、キッカ

レビル将軍(戦死)


シャア・アズナブル大佐

デギン・ザビ公王(戦死)

ギレン・ザビ総帥(戦死)

キシリア少将

トワニング

この回の登場モビルスーツ他

最終決戦なので総出ですね

ガンダム

ホワイトベース

マゼラン

サラミス

ジム

ボール

パブリク(突撃艇)

コロンブス(補給艦)


ジオング(初登場)

シャア専用ゲルググ

ゲルググ(量産型初登場)

ドム

ザク

ザンジバル

ムサイ

グワジン

チベ

空母ドロス

ガトル(宇宙戦闘爆撃機)

ブラウブロ(ギレンが演説中、アバオアクーを背景にチラッと映ってます)


ア・バオア・クー

第3号密閉型コロニー「マハル」


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